生物はウィルスによって進化し、バクテリアによって守られている。その2
生物はウィルスによって進化し、バクテリアによって守られている。
前回に引き続き、このお話をと思っていますが、
まず注目したいのは、守ってくれるほうのバクテリア(細菌)ですね。
細菌は原核生物といって、僕たち人間の体を構成している細胞のように「ミトコンドリア」を持っていません。
ミトコンドリアは、膨大な量の活動エネルギーが生み出せる製造工場。
じつはこのミトコンドリアも、太古の時代に細胞内に共生したバクテリアの一種だったと言われています。
そう、有名な細胞共生説ですね。
このミトコンドリアを持たないバクテリアは、糖を分解するだけの小さな工場(解糖系)しか持っていませんが、小さいことはいいことだみたいなところもあって。。。
食べて生き、分裂して自己を継承していくという。。。
そういう永遠のサイクル、老いも死もない時間を超えた世界で生き続けています。
この永遠の世界に生き続けるバクテリアたちが密集し、それぞれのコロニーをつくって共生しているのが大腸という空間。
そう、ここにいる菌たちが腸内細菌であるわけですが、
百兆あまりという膨大な数の菌たちの中でも「守ってくれる」キーになるのが、前回の記事にも登場した乳酸菌にあたるわけです。
乳酸菌と言っても、乳酸や酢酸を分泌する嫌気性菌の総称なので、わかっているだけでも30種類くらいは存在していて、
もちろん、人の腸内に棲みついている乳酸菌、他の動物の腸内に棲みついている乳酸菌と、いろいろな種類に分かれています。
また、形状や性質によっても、ビフィズス菌、乳酸桿菌、腸球菌などに分けられますが、ヒトの場合、ビフィズス菌の割合が特異的に多いと言われています。
乳酸菌の役割というのは、分泌した乳酸によって腸内を弱酸性に保ち、腐敗を起こす菌の繁殖を抑えるところにあるわけで。。。
尊敬する腸内細菌研究のパイオニアである光岡知足先生は、
乳酸菌の仲間を「善玉菌」、腐敗を起こす菌の仲間を「悪玉菌」と便宜的に名づけました。
自然界に本当は善も悪もないわけですが、でも、意図するところはわかりますよね?
とりわけビフィズス菌は、乳酸だけでなく酢酸も分泌するため「殺菌力」が強く、興味深いことに、出産直後の乳幼児の腸内でビフィズス菌が大繁殖することがわかっています。
要は、生物的には弱い(親の保護が必要な)赤ちゃんの健康を、ビフィズス菌たちが見えないところで支えているわけです。
もちろん、広い意味では「乳酸菌」が腸内環境を健康に保つうえで大事な役割を担っていることは言うまでもありません。
腸内に常在している乳酸菌の仲間が「発酵」(腸内を弱酸性に保つ)に寄与していることはわかりましたが、では、食事などで取り込まれる乳酸菌はどうなのか?
そのカギを握っているのは「免疫活性」です。
ここに以前の記事に書いた自然免疫の働きが深く関わっています。個人的には、ウィルスの繁殖を防ぐカギもこのあたりにあるのではと。
長くなってしまったので、この続きはまた明日。